韓国昔話(牛になった怠け者)


牛になった怠け者

昔、昔、仕事をしない怠け者が暮らしていた。「いや、そんなに毎日、寝ているだけのつもり?」「そうするんだったら、すぐにこの家から出て行きなさい!」「なんだよ。出て行けと言うなら、出て行けないってか?」腹が立った怠け者は、その足で家を出て、しばらく行ってみると、みすぼらしい家で、見知らぬおじいさんが牛の頭のお面を作っていたんだなあ。「ご隠居様、はてさて、不思議に牛と同じように出来ましたね。」「一度だけ、使ってみたら、いけないでしょうか?」「やめなさい。」「使い損なうと、おおごとになるとのことです。」怠け者は牛のお面を奪い、頭でひっくり返して使った。そうすると、さあどうだか、怠け者の体が、そのまま、するりと牛になってしまった。「おやっ!これ、どうしたの?」と叫ぶが、モー!モー!牛の鳴き声だけが出て来るのでない?「ハハハ。ハイヤーハイヤー!」おじいさんは牛を引っ張って行き、農夫に安い値段で売った。農夫が牛をむやみに引いて行こうとするのだが、おじいさんが、それとなく耳打ちして言った。「この牛は大根を食べると、死ぬとのことです。」「絶対に大根畑には連れて行かないでください。」牛になった怠け者は、次の日から一日中、仕事だけした。田を耕し、畑を耕し、荷車を引き、犂(すき)を引いて、夜が明ければ、引かれて出て行き、暗くなるまで、きつく仕事をしたんだね。「やれやれ、しんどい。」あまりにも仕事がしんどくて、声でも張り上げれば、モー!モー!鳴き声だけ出た。「ハイヤーハイヤー!さあ、動けないの?」「アー!もっと早く、このように一生懸命に働いていたら・・・」次の日、怠け者の目に大根畑が見えた。『この牛は大根を食べると死ぬとのことです。』『絶対に大根畑には連れて行かないでください。』「一生、牛として生きるくらいなら、いっそ、死ぬのがマシだろう。」怠け者は大根畑に行って、大根1個を口で食らいつき、ぐいっと抜いた。そして、ぼりぼり噛んで食べたんだな。「大根を食べるとダメだと言ったのに。」あら?ところが、これ、どうしたの?大根を食べたら死ぬのでなくて、元通りに人になってるんだよ。その風で牛のお面も剥げて、地面にドサッと落ちたんだ。「やれやれ、今やっと生き返ったんだな。」怠け者は農夫に今まであったことを全て話してあげてから、真っ直ぐに峠を越え、家に帰って来た。怠け者の妻も喜び、走って出て来たんだね。「おい、許すよね。」「これからは、私は一生懸命に仕事をする。」妻は新しい人になった夫を見て、涙が出て来た。怠け者は、せっせと働いて金持ちになった。そりゃそうだよね。また、怠けると、どんなひどい目にあうと思う?

게우름뱅이 怠け者
엣적 昔
아니 いや、あれ、あれっ
려거든 ~するんだったら、~しようとするなら
당장 すぐに、ただちに
에잇 ええい、なんだよ
動詞語幹+라면 ~しろと言うなら
나서다 出る
한참 しばらく
허름하다 粗末である、みすぼらしい、安っぽい、古びている
탈 仮面、マスク、お面などの被り物
더래 過去の間接話法、過去の回想
거참 いやはや、はてさて、あら、それは
ㄴ다오 とのことです、というのです(話し手が既に知っていることを客観化して聞き手に伝えるという意を表す終結語尾)
빼앗다 奪う
뒤집다 裏返す、ひっくり返す、覆す(くつがえす)、翻す(ひるがえす)
글쎄 さあ、さあどうだか、まあ
그냥 ただ、なんとなく、そのまま
그대로 そのまま
스르르 するすると、するりと
아이쿠 おやっ
웬일이야 どうしたの
소리치다 叫ぶ、大声を出す
이랴! ハイヤー
끌다 引く、引っ張る
농부 農夫
팔다 売る
막 やたらに、むやみに、めちゃくちゃに
은근히 密かに、それとなく
귓속말 耳打ち
수레 荷車
쟁기 犂、すき
날 새다 夜が明ける
끌려나가다 引かれて出て行く
고되다 きつい、耐えがたい
아이고 やれやれ
하도 あまりにも、とても、~すぎて
소리 지르다 声を張り上げる、叫ぶ
진작 もっと早く
느니 ~するより、~するくらいなら
차라리 いっそ
물다 噛む、食いつく、くわえる
쑥 ぽこんと、ぐいっと、すっと
뽑다 抜く
아작아작 カリカリ、ボリボリ
씹다 噛む
어 あら
도로 元に、再び、元通りに
는 거야 ~してるんだよ
벗기다 剥ぐ
툭 ドサッと
이제야 今やっと、今になって、今まさに
고 나서 ~してから、~した後に
곧바로 真っ直ぐ、真っ直ぐに、ただちに
여보 おい、ねぇ、あなた(夫婦が呼び合う愛称)
용서하다 許す、容赦する
구려 ですね、ますね
새사람 新しい人
부지런히 勤勉に、せっせと
그럼 그렇지 そりゃそうだな、そりゃそうだよね
게르름을 피우다 怠ける
봉변 ひどい目、逢変
당하다 あう、やられる、被害を被る
려고 ~しようと思う