韓国昔話(嫁のおならは福のおなら)


嫁のおならは福のおなら

昔、ある金持ちの家に、嫁に来たての花嫁がいました。「私たちの嫁は顔も綺麗だけど、心も美しいね。」「重宝される存在が入って来ました。」ところが、日がいけばいくほど、花嫁の顔が黄色く変わり始めました。「お嫁さん、顔色がよくないな。」「どこか悪いのか?」「お父様、私がおならをできないから、そうなのでございます。」「たかが、おならだよ。こけば、いいだろう。」「安心して、こきなさい。」「お父様、実は私のおならが、ものすごく強いおならだからです。」「それでは、お父様は取っ手を握っていらっしゃって、お母様は大釜をつかまえていらしてください。」「旦那様、柱を必ず掴んでください。」「どんなに強くても。」嫁が下っ腹に、うんっ!と力を集めるやいなや、プンプン、プーンプンと雷のような、おならが炸裂して出てきました。続いて、パンパン、パアンパンと台風のような、おならの風がひゅうひゅう吹いたんですよね。その風で舅は庭に出て行って落ち、姑はビューンと飛んで行き、新郎は柱につかまって、くるくる回りました。「我慢したおならをしたので、スッキリ。」嫁の顔が再びかつてのように美しくなりました。しかし、驚いた家族たちは顔が真っ青に血の気が引きました。「お嬢ちゃん、おならを二度ばかりしたら、大変なことが起きるんだな。」「お爺さん、あんな嫁を置いたら、家の中が滅びそうです。」「ダメみたいだ。お嫁さん、あなたのおならが怖くて、一緒に住めそうにないから、実家に帰りなさい。」「私が同伴してあげよう。」嫁は涙を流して、姑と新郎に挨拶をしました。二人が山の峠を越える時でした。「お嫁さん、足も痛いので、あの柿の木陰でしばらく休んでから行こう。」舅と嫁は柿の木の下に座りました。「はてさて、美味しそうにも見えるな。」「お父様、私が採って差し上げるから、あちらの方に避難していらしてください。」プンプン、プーンプン!雷鳴のようなおならの音が空の上に鳴り広がると、ぶらんぶらん、ぶら下がっていた柿がどっと落ちたんだよね。「そうだ!私たちの嫁のおならは、知ってみると、福のおならだな。」舅はゲラゲラ笑って、嫁と一緒にまた家に帰って来ました。その後、嫁は福のおならをプンプン、プーンプン、パンパン、パアンパン、スッキリと、こきながら、幸せに暮らしましたとさ。

갓 たった今、~たての、~したばかりの
시집오다 嫁に来る
새색시 花嫁
복덩이 重宝される存在
아가야 舅、姑が息子の嫁を親しみを込めて呼ぶときに用いられる
그까지 たかが
야 だよ
마음을 놓다 安心する
라서요 ~なので、~だからです
문고리 引き手、取っ手、ドアノブ
가마솥 釜、大鍋
기둥 柱
길래 ~なので、~だからといって (用言に付いて話し手の行為の理由を表す接続形の語尾)
아랫배 下腹、下っ腹、下腹部
끙 うんっ!、よいしょ!
모으다 集める
청둥 雷、雷鳴
터지다 裂ける、割れる、破れる、爆発する、破裂する、吹き出る
이어서 続いて
휙휙 ひゅうひゅう
시아버지 舅、夫の父、義父
마당 庭
시어머니 姑、夫の母
슝슝 ビューンと
신랑 新郎
뱅글뱅글 くるくる
참다 我慢する、こらえる
시원하다 スッキリした
예전 以前、かつて、昔
새파랗다 真っ青だ
질리다 真っ青になる、血の気が引く、怖じ気付く
얘야 坊や、お嬢ちゃん
다간 ~していては、~したら
다가는 ~していては、~したら
망하다 潰れる、滅ぶ
친정 妻の実家、結婚した女性の実家
마 ~してやろう
그늘 陰、下(もと)
거참 まったく、それはそれは、はてさて、いやはや
게 생기다 ~に見える
따다 取る、採る
대롱대롱 ぶらんぶらん
매달리다 ぶら下がる
우르르 どっと
로구나 だな、だね(感嘆を表す終止形語尾)
껄껄 ゲラゲラ、あっはっはっ、からから